天使の拾いもの

「く、くそ!」

 息を切らせてへたりこむアントンを、拘束しようと近づいたとき──

「クリア!」

「っ!?」

 聞き慣れた声に振り返り、立ち尽くしているライカに目を見開く。

「どうしてここに……」

「クリアの様子が、なんかおかしかった、から」

 そうだった、迷子になったらと俺のGPSを教えていた。それを辿ってきたのか。俺が思っていたよりも、ライカの勘は鋭かったらしい。

 それとも、両親に関する事だったため、その機微(きび)を感じ取ったのか。

「そいつ。そいつだよな!?」

 初めて見るライカの表情にセシエルは一瞬、動きが止まる。両親を殺した二人組の指名手配写真を、穴が開くほど見つめていたライカを思い出す。

「やめろ。やめるんだ」

 ハンドガンを抜いて、男に銃口を向けるライカの前に滑り込む。

「どけよ! 俺が、こいつを殺して、父さんと母さんの仇を、討つんだ──っ! どいて、くれよ」

 セシエルは、カタカタと震える銃口に視線を落とし、陰った瞳をゆっくりと閉じたあとハンドガンに手を添えて下げさせた。