「言ったろ。俺が気に入るから会わせるために、口実にしたんだ」

「だったら口実のままでいろよ!」

 余計な荷物を背負い込んじまったじゃねえか!

 そんな俺をカイルは豪快に笑い飛ばす。どう甘く見積もっても、こいつも俺を困らせて楽しんでいる。

 まったく……。カイルは間違いなく、お前の師匠だよ。

「あのよ」

 セシエルはふと、気になって問いかけてみた。

「なんで、あいつを引き取ったんだ?」

「お前は見捨てられるか?」

「む……」

 そう言われ、ライカを脳裏に浮かべて小さく唸る。

 両親に捨てられ、その両親は殺されて独りになったライカを施設に預ける選択肢は何度か考えたが、結局は止めた。

 それは、見捨てることなど出来なかったからだ。俺といても、ライカが幸福になるとは思えなかったが、あいつの顔を見て施設に預けるという選択は選べなかった。

 それを思えば、カイルが迷うことなくあいつを引き取る決断をするのは当然か。

「もちろん、この話は──」
「誰にも言わねえよ。当たり前だろうが」

「そうか」

 念を押すことなく、カイルは言葉を短く返した。




†††