──俺が騙されて、あいつを捕まえようとした事はまあ、仕方ない。あいつが不死だから、俺が巻き込まれただけだ。
そこから、どうしてこうなった。
カイルが神経質すぎるんだ。あんな、俺のちょっとした躊躇いに食いつくなんて──そう思ったが、一度、敵に秘密が知られてカイルの家が襲撃され、そのとき丁度、あいつが不死の力を持つ人間を護っていた最中だったとか。
その人間を狙っている敵の一人が、あいつの秘密を知って直接、ベリルを脅してきたらしい。後にそれを聞いて、明らかにそれによる襲撃だったのだろうと結論づけた。
それを思えば、少しの違和感でも俺を引き留めた事は理解出来る。
カイルは、頭を抱えて黙り込むセシエルを見つめて、ベリルの言動に少なからず納得した。
「あいつ、性格が悪いところがあってな」
カイルがふと口にする。
「誰彼構わず、相手を困らせる事が好きなんだ」
ああ、確かにあいつらしい。
俺が困っているとき無表情ながらも、その瞳の奥には意地悪な光が窺えた。あれは絶対に楽しんでいた。
「あいつが二度会っただけで俺の所に寄越してくるとは。よっぽど、お前が気に入ったんだろうな」
「そうなのか?」
「俺も気に入るだろうと考えたんだろうよ。まあ、気に入った。別に話さなくても良かったのに、つい話しちまったくらいにはな」
「はあ?」