たったそれだけのことが言えず、大して教える事も出来ずに日々が過ぎていく。
あれからさらに月日が経ち、ライカは二十歳になっていた。相も変わらず、ライカにはハンターとしての素質がまるで見えてこない。
この歳になってもだめなら諦めるしか無いのだが、いつも張り切って手伝いをしている姿を見ると諦めろとは言えなかった。
あいつなら……。と何度も考えずにはいられない。
「ジャングルで迷ったとき、どうするんだお前は」
セシエルは、未だに方角を掴めないライカに頭を抱える。方角が掴めなければ、地図も意味を成さない。
地図が無くても脱出できるようにと、方角は重要だというのに、それすらも理解してもらえないのは辛い。
「えへへ」
なんで照れ笑いする。だめだなこれは。開眼を期待するのは無理なのだろうか。
「次の依頼は?」
話題を切り替えて嬉しそうに訪ねるライカに眉を寄せる。
「今度のは小ぶりだ」
説明しながら肩を揉む。
疲れがなかなか取れない。それもそのはず、俺はもう五十だ。引退してもいい歳になっている。いい加減、体が言うことを利かない時もある。
俺がいなくなれば、ハンターを諦めてくれるだろうか──
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