天使の拾いもの

「ライカ」

「何?」

「西はどっちだ」

「え」

 ライカはしばらく部屋を見回し、窓の外を見やる。しばらくの沈黙のあと「……あっち?」

 怖々と答える。

「そっちは南だ」

「あれ?」

 頭をかくライカに、セシエルは呆れて顔を手で覆った。

 これはだめだ。顔つきはよくても、こいつはハンターにも傭兵にも向いてない。

 そもそも俺は、人に何かを教えるのが下手くそなんだ。こいつがこんな状態なのも、そのせいでもあるのかもしれない。

 それにしたって、さすがにこれは酷すぎる気がする。こいつに学んでもらうため、俺は常に声に出して行動していたんだぞ。

 それだけで覚えられる訳じゃないことは解っている。それにしたって、少しも覚えられないってのはどうなんだ。

 つくづく俺ってやつは──と思うたび、あいつ(ベリル)なら、しっかり教えられるんだろうかと考える。

 あいつの動向は時折、耳にする。仲間も多く、慕われてもいるようだ。なかには嫌われている事もあるようだが、そこには、あいつに対する誤解もあるのだろう。

 あいつも、俺のように、この仕事を天職だと考えているに違いない。

「ライカ、お前。本当にハンターになるつもりか」

 そう思うと、こいつの将来が不安で仕方が無い。

「当り前じゃん」

 しれっと答えるライカに眉間のしわを深くした。

 ハッキリと言うべきだろうか──お前は、ハンターには向いていない──と。