「坊主、名前は。俺はクリア・セシエル」

「……ライカ・パーシェル」

 一人で不安だったのか、突然の助け船に切ない瞳をあげて、たどたどしく発する。

「いくつだ」

 それにライカと名乗った少年は両手を眺め、指を広げて見せた。

「じゅう」

「そうか。十歳か」

 心なしか、やつれているように見える。もしや、食べ物もろくに食べてないんじゃないだろうな。

「見ていいか?」

 バッグを指差し、無言で頷いたライカからバッグを受け取る。

 少年と同じように薄汚れたバッグのファスナーを開けると、中身は着替えが二・三枚あるだけで水すら入っていない。

「お父さんとお母さんは、なんて言っていた?」

「お仕事を探してくるから、ここで待っててって」

 肌の色と顔立ちからしてラテン系だろうか。ここがテキサス州ということからも、セシエルはなんとなく察しが付いた。