天使の拾いもの

「だって、前のはそれでいけたじゃん」

「前のとは銃が違うだろが」

「だって……」

 ふてくされるライカに、セシエルは再び深い溜め息を吐いた。

 そうだ、ライカは指名手配犯の顔を覚えるのは得意だが、そのほかについてはからっきしだ。学校にも通わせているが、成績は芳(かんば)しくない。

 今は学業に専念させた方がいいのは解っているため、勉強の合間に学ばせている。

 ライカには窮屈な生活かもしれないと思いつつも、先の見通せないセシエルの焦りは募っていく。

「あのな。俺がいなくなったら、お前は一人で生きていかなきゃならな──」

「そんなこと言うなよ! クリアまでオレを置いてくのかよ!」

 半ば叫ぶような声のあと、ライカは背中を丸めた。縮こまった背中から伝わる涙に、セシエルは震える手を強く握りしめる。

「泣いている場合じゃないんだ」

 泣いている場合じゃない、そんな時間はお前にはない。これまでのことを思えば、本当は甘やかしてやりたい。

 だが、俺はもう四十二歳だ──体力の衰えを実感している。この仕事をあと何年、続けられるのか解らない。

 次の仕事で帰ってこられるかも解らない。今さら、他の仕事なんてのも無理だ。

「──っ」

 セシエルは詰まる喉に一度、深く息を吸い込み立ち上がる。そして膝を折り、ライカの肩を掴んだ。