──ライカと一緒に住み始めてから二年ほどが経った。十二歳という年齢にしては背だけは高くなったと、セシエルは感慨深げにライカを見つめる。
今はリビングで二人、手もとを気にしつつテレビを流しながら銃の手入れ作業をしている。
生き抜くためにと武器や護身術を教えているが、ライカには致命的な問題があることが解った。
「出来たか?」
セシエルは言って、ソファの前にへたり込んでいるライカに手を伸ばす。
「……ん」
少年はやや不満げに、手の中にあるハンドガンを差し出した。ハンドガンの弾薬についてライカに教えている最中なのだ。
それを受け取ったセシエルは弾倉を外し、中に詰め込まれている弾薬を見て溜め息を漏らす。
「間違ってるぞ」
その言葉にライカはビクリと肩をふるわせた。
「前にも言ったろ。こいつにこの弾薬は合わない。撃ったらジャミングを起こすか、下手すりゃ暴発して手首から先が吹き飛ぶぞ」
若干の怒りを含ませたセシエルの声に、ライカは視線を外し頬を膨らませる。