「とりあえず、疑われないようにはしとかねえとな」

 誘拐犯だなんて勘違いされたら、仕事もまともに出来なくなる。

 これから、俺の生活はがらりと変わるだろう。どこまでやれるのか解らない。そう考えたとき、どうしてあいつ(・・・)の顔が浮かぶのか。

 後にも先にも、あれほど衝撃的な出会いはなかったからかもしれない。

「不死なんて誰が信じるかよ」

 頭を抱えて唸る。

 俺が子持ちになるなんて、びっくり仰天もいいところだ。養子縁組はしなくとも、子持ちには変わりない。

 仕事に復帰するなら、色々と準備をしないとな。

 まあ仕事から離れていたのは、ほんの一ヶ月くらいなんだが、それでも直ぐに感覚が戻るなんてことはないだろう。

 俺にとっては、あまりにも平和な生活だったのだから。