──セシエルは、白衣を着た五十代ほどの男に一枚の扉の前に案内された。
中に促され、開かれた重たい扉から神妙な面持ちで滑り込むように足を踏み入れる。コンクリートに囲まれた室内には金属製の大きな収納棚がありステンレスのデスクが数台、寂しげに中央に設置されていた。
どこかひんやりとした部屋は、地下に造られる理由があるのだろう。中央の台にはビニールシートが二つかけられていて、そこに何があるのかをセシエルは知っている。
目で合図されて覚悟を決め、男がめくったシートから現れたものに眉を寄せた。
「……。犯人は」
「まだ」
短く紡がれた言葉に口の中で舌打ちをして、横たわる血の気のない裸の男女を見下ろす──
†††