──そうしてとうとう二人はライカを捨て、新天地に向かう途中に寄った店で運悪く強盗に遭遇し、自分たちの持ち物まで奪われそうになったため逃げようとして背中から撃たれた──
<死ぬ間際に子供の名を呼び、謝りながら絶命したそうだ>
「そうか。ありがとう」
セシエルは静かに携帯を降ろし、小さく寝息を立てているライカを見つめた。
上手くいかない人生に苛立っていただろう。思い通りにならない子どもに腹も立っただろう。けれども、こんな終わり方で彼らは良かったのかと身近にある悲劇に眉を寄せた。
俺がもっと早くライカに出会えていたなら。両親に出会えていたなら、未来は違っていたかもしれない──俺に何が出来たかは解らない。何も出来なかったかもしれない。
それでも、もう手遅れなのだと解っていても悔やまれてならない。



