月と太陽の恋愛関係

いつの間にか笑いが消え、聞き覚えのある声が耳に入った。


「こんばんは、王子様。」


俺は声を掛け、近付く。


『ズリッ』

地面の固い土をズックが滑る音がし、アイツが一歩離れる。



チッ…


内心、舌打ちをこぼしつつ、一歩、一歩と踏み出す。


そんな俺を見上げ、不安気に笑顔を歪ませる神崎夜月。


「そんなに俺が怖い?」

「さ、さぁ?」


…嘘つけ、

その顔のどこが怖くねぇんだよ。



こぼれそうになる笑いを必死にこらえる。


「その顔、恐怖に満ちた顔が"怖い"って言ってるけど?」

そう言うともっともっと笑顔の引きつる神崎夜月。

そんなアイツにまた笑いそうになる。



「いや、そんなことは「まぁ、あんな姿見ちゃったしね。

仕方ないっか。」

舌を出し、悪戯に笑うと、さっきよりも恐怖が顔から滲み出た。

「あのこと言うなよ、

言ったら…



ぶっ潰す。」


俺はそれだけ言い、恐怖に満ちた顔をしたアイツを置いて公園を出た。