月と太陽の恋愛関係

「あっ!
そうそう!
あの子どうだった?

いいなぁー、うん、羨ましいよ太陽。」

「まだ何も言ってねーよ。」

「おっと、こりゃ失敬。」


「「ドンッ」」


「ったぁー…」

突然鈍い音を立て、激痛の走る俺の肩。


後ろを振り向くと男が物凄く慌てていた。

というより、怯えていた。


「っんだテメェ、よそ見して歩いてんじゃねぇぞ。」

胸元をぐっ、と掴み、男を睨む。


「う、ううう

うるせぇっ!」

男は力一杯、俺の手を振りほどき、全速力で俺達の前を駆け抜けて行った。

「…何だ、ありゃ…。」

雄舞が驚いたように呟く。



俺は男の走って着来た方向に目を向けた。

「嘘…だろ…。」


おい、何で此処にいんだよ。

帰ったんじゃなかったのかよ。


俺は急いで視線を外す。


「おい、どした?
太陽。」

心配気に顔を近づける雄舞。


「いや、何でもねぇ。」

何でもねぇ訳ねぇし!


俺、アイツにバレたよな?

神崎夜月に、



でも、

ヤバい筈なのに、

怖い筈なのに、


嬉しい自分が居た。