「クロ」
「へ?
何が?」
くろ…
一夜限りの彼女に授ける御礼からの名前。
「君の名前。」
ニコッ、と彼女に微笑み掛ける。
「あたしの名前「いいの、君はクロ。僕は、
シロ、シロって呼んでよ。」
「えっ、でも、なま…んっ‥」
っつかしつけぇし。
俺がこうしたい、って言ったら従うのが主人に忠実な犬、クロの使命だっつーの。
チュッ、と小さなリップ音を立て離れる唇。
頬を紅潮させ、瞳を潤ませるクロは何だかエロい。
「僕、もう我慢出来ない。
食べていいよね?」
フッ、と耳に息を吹き掛けると、ピクッ、と体を弾ませたクロ。
『コクッ』
そして真っ赤な顔を下に向け、小さく頷いた。
女って馬鹿だよな。
俺はお前を好きじゃねぇよ、クロ。


