しばらくの沈黙。
「俺は…」
やっと口を開いた二宮だったが、なかなかその先が出て来ない。
「ごめん、何か面倒臭い質問しちゃたね。
答えなくてもいいよ?」
「いや、
俺は、
俺、月は皆を癒やす為に有ると思う。
人を優しく照らしてさぁ、太陽を休ましてくれてるんだと思う。」
「そっか…」
思いもよらない答えを聞いて何だか不思議な気分になった。
そのままずっと二宮の背中に揺られ、気が付けば俺の家だった。
それからストン、と俺を背中から落としたことから、これはきっと帰れってことだよな?
と家に入りドアを閉めようとしたその時。
「ガッ」
何かがドアに挟まる重い音がした。
恐る恐る振り返るとそこには二宮のニヤついている顔と、ドアに挟まった二宮の靴が見えた。
かと思うと、ドアをこじ開け入って来た二宮。
「おじゃましまーす」何て言って勝手に家に上がった。
急いで電気を付け追いかける。
「うっわ、汚ねぇ…」
「うわぁー!!
見んな、見んな、見んなぁ―――!!!」
俺が止める間も無く、リビングのドアを開け、唖然とする二宮。
俺はそんな二宮を押して、急いでリビングのドアを閉めた。
「俺の部屋で…駄目?」
俺の部屋ならリビングよりもマシだった、筈…
「お、おぅ…」
それに少しだけ頬を赤らめて頷く二宮。
『グゥゥゥゥ――――――…』
そんな時、俺の腹が鳴った…。


