しばらくして、
赤々と輝いていた太陽は沈み、変わりに月が、白く学校を照らしていた。
吹き付ける風も次第に強く、冷たくなり、辺りの木々をザワザワ、と揺らしていた。
涙の枯れた俺は、屋上を出ようと立ち上がろうと足に力を込めた。
「あれ…?」
立てない。
もう一度力を入れる。
でも結果は同じ。
何で?
突然クラクラ、っと倒れかけた。
そうだ。
俺は、
風を引いていたんだ。
今更気付く。
こんなことなら学校を休んでれば良かった。
後悔しても、もう遅い。
今は夜で学校に人は居ないのだから。
もし、先生が居たとしても、きっと屋上には来ないだろう。
明日までこのままか、
もしかしたら明日は、未来はもう無いのかも知れない。
冷たく、血の気を失った自分を想像して身震いした。
何とかここから出なければ…
もう一度、もう一度、と何度も何度も力を入れる。
でも駄目だ。
俺はこのままここで…
もう少し生きてればもっといいことがあったかも知れないのに、
普通に恋をして、
愛することだって出来たかも知れないのに、
女の子に戻れたかも知れないのに…


