今は思い出したくもない。


過去なんてもう捨てたのだから。



俺は今を生きればいい。

だって、幸せだし。



俺はスカートではない自分の制服、

簡単に言えば、男子用の制服を着た自分が昇降口のガラス戸に映った姿を見た。


女子よりも短く、男子よりは少しだけ長い色素が薄く、茶色掛った自分の髪。


女性を思わせるオウトツが全く無い、ペッタンこの体。


まわりに居る女子達はそれをウットリと見詰める。


すると突然。


「あっ!!」


一人の女子が声を上げた。


何事か、と振り返ればそこには小柄な可愛らしい少女が一人。

その手にはピンクの布で包んである四角い物体。


大体予想はついている。


「あ、あの…

お、おおおおおおお弁当、どっ、どうですか?」

やっぱり


恒例のお弁当。