家に着く。 雲は完全に消え、月が俺を笑うように映し出す。 何故、 俺は名前に月があるのに、こんなにも拒絶されなければならないのだろう。 その思いが届いたのか、月はもっと、もっと、俺を遠ざけるかのように輝いた。 俺はその光を自分の視界から消すように家の中へ入った。 「クシュン‥」 暗闇に響くくしゃみの音。 そう言えば、ずぶ濡れだっただったことに、今更ながら思い出す。 「そっか…だから寒かったのか…」 ハハッ、と小さく笑って、俺はそこで意識を失った。