それから俺はびしょびしょのままコンビニに入った。
「いらっしゃいませー。」
店員の女性の明るい声が店内に響く。
雑誌を読んでいる人もいれば、
飲み物を選んでいる人、
ただキョロキョロと店内を見ている人、
客であろう人達はそれぞれバラバラと動いている。
俺はホットコーヒーの缶を一本取り、レジに向かった。
『コトン』
レジに缶を置く音が静かにした。
先ほどまでの営業スマイルは何処へ行ったのか、店員は明らかに笑顔が崩れている。
俺はお金を払い、すぐにコンビニを出た。
滝のように降っていた雨は上がったらしい、
その証拠に雲の切れ間から月が少しだけ顔を出している。
後ろを振り返ればさっきの店員がまだこちらを睨んでいる。
その目からは「早く帰れ」と意図が伝わってくる。
俺は少しだけ睨み返し、その場を後にした。


