『ポツ‥ポツ‥』
次第に頬に落ちる雫の数が増えて来た。
俺はまだ力が抜けフラフラする体を、両手を地面に付け、支え、そして立ち上がった。
ヨロヨロ、っと倒れそうになる体を必死に起き上がらせ、公園を出た。
時々通り過ぎて行く車は、水たまりの水を俺にかけ、走り去って行く。
通り過ぎて行く人達は皆、傘をささない俺を冷たく、軽蔑した目で見た。
偶に、心配そうに見る人も居るが、そんなのはただの"お芝居"に過ぎない。
心の中では誰もが笑い、罵り、馬鹿にしているのだ。
そんな中をただひたすらに歩く。
人の目なんてどうだっていい。
俺はその人を知らないのだから、
その人もきっと俺のことなんて知らない。
知ってるはずがない。
名前を知らなければ、年齢だって、住所だって、電話番号だって、俺の気持ちだって知らない。
そんな人達に自分を馬鹿にされたって、何一つ悔しくならない。
沢山笑えばいい、罵ればいい。
俺は何とも思わないのだから。


