制服がシワシワなので、アイロンをかけ、

髪をワックスで整え、

薄くリップを塗って、


学校への準備は完璧だ。



「カチャ」

玄関に鍵をかけ、青いチェック柄の傘をさし、歩き出す俺。


通り過ぎる車が容赦なく水しぶきを飛ばしてくる。

俺はそれを器用によけつつ、学校への道を歩く。


と、足下に空き缶が落ちているのを見つけた。

俺はそれを思いっきり右足で蹴り飛ばした。



見事につま先にヒットした空き缶は宙を舞い、やがて公園の門にぶつかり、カラコロと音を立てて落ちた。


その公園は、

初めて見たはずなのに、

雨が降っているはずなのに、

何故か温かく、懐かしい感じがした。


自分でも分からない感情を抑え、再び学校への道を急ぐ。