『サァー…』

窓の外から聞こえる、雨の音に目を覚ました。


あれから俺は熟睡していたらしい。

その証拠に制服にはクッキリと何本ものシワが刻み込まれている。


『ザァー』

次第に強くなる雨の音。

窓に目を向ければ、いくつもの雨の雫が力いっぱい打ちつけ、そして流れていくのが見えた。


俺は雨が嫌いだ。

あの五月蝿い音が、

空一面灰色に染まる景色が、

その全てが嫌いだ。


俺はノロノロと階段を降り、いつものリビングのドアを開ける。


開けた瞬間にほんの少しカビ臭い匂いがした。

それも仕方ないだろう。


もう入学した時からここは使っていなかったのだから。


俺は埃まみれのリビングに入り、とりあえずテレビをつけた。

画面の中では今日も忙しい、と言うように原稿を淡々と読む、女性ニューキャスター。


そのテレビもすぐに消し、横にあったソファに腰を下ろした。