笑い合ってはいるがあれは違う。
友達なんて綺麗なものじゃない。
すると目が合ってしまった。
あたしはすかさず走り出す。
今のは夢。
そうきっと悪い夢。
だってアイツはお姫様なんだよ?
あんな汚い人たちと一緒に居るような、そんなのお姫様じゃないもん。
忘れよう。
忘れよう…
「ハァ…ハァ…」
息がこれでもか、というように切れていて苦しい。
あれから俺は走りっぱなし。
足はパンパンに腫れ、少し痛む。
今立っているのは自分の家の玄関前。
どうやって来たのかは覚えていない。
ありえない光景を目にして動揺していた俺は、とりあえず家へ走ったのだろう。
覚えているのは、
何人かの人の肩に激突したこと。
そして、自分の目の前に突きつけられた汚い世界。
もう何が何だか分からないかった。
俺は疲れきった体を必死に動かし、家のドアを開け、中に入った。
誰も居ないこの家の中に重たい空気が流れる。
俺はそのまま電気を点けることもなく、ノロノロと二階に上がり、自分の部屋へと入った。
そしてそのままベットに倒れ込んだ。
スゥー、っと薄れて行く意識の中でアイツの顔が浮かんだ気がした。


