それから倒れていた男が起き上がり、

「くっくだらねぇ…」

と捨て台詞を吐き、1人でスタスタと逃げていった。


それを追うようにもう一人も逃げていった。

俺はフゥ、と1つため息をつき、帰り道を急いだ。


そんな俺の疲れきった、哀れな姿を月は後ろから青白く照らした。


名前の中に月があるはずの俺。


でもそんな俺は月に認めては貰えない。


勿論太陽にだって…


「太陽…」

そこでふと1人の少年の顔が浮かんだ。

1-B姫こと、二宮 太陽。

あっ、と足を止めた俺。


その俺の目に映っているのは間違いなくアイツ。

二宮 太陽だ。


一瞬自分の目を疑った。

だってそこにいたのは、



髪をワックスでツンツンに立て、

派手な服に身を包んだ、


一言でいえばチャラい少年だったからだ。


その周りには無数の男。


友達…ではなさそうだ。