「よぉ、兄ちゃん。

俺らに金くんねぇ?」


するとさっきそこの路地で人を殴っていたと思われる男、2人が出てきた。

その2人のずっと後ろには、スーツがボロボロに汚くなった、サラリーマンが、虫の息で転がっている。


「オイ、聞いてんの?」

俺は2人を一瞬睨み、家へ帰る道を歩き出した。


「てっめぇ…」

その後ろで声を荒げた男。

俺はそれに屈することも無く歩き続ける。


と、

『ヒュ‥』


何かが風を切る音が聞こえた。

すかさず俺は脇にほんの少しずれる。


すると、標的を撃つことの出来なかった哀れな右腕が右頬から2センチ程離れたところから飛び出した。

「うぜぇよ」

俺はその腕を右手で掴み、前に思いっきり突き出した。


『ドサッ』

見事に宙を舞った体格のいい男が鈍い音を立て、地面に落ちる。

それを見ていたもう一人の男が拳を構え迫ってくる。


俺はそれも避け、静かに言った。

「消えろよ」