「うぇ?」

変な声を上げる神埼。

俺はグイッ、と神崎を自分の方に引き寄せる。


瞼を硬く閉じた神崎がゆっくりと瞼を開く。

「お、おいっ!
二宮!
何やってんだよ!
離せ、離せってば!」

そこで、俺のふとももの中に収まっていることに気付いたらしい。



「っ、離せー…。」

突然バタバタと両手足を必死に動かし始める。


だが、そんなのも一瞬。


「ハァ…ハァ…」


次第に疲れ始め、息が乱れてくる。



「フフ…それってさ、誘ってんの?」

そんな神崎をついつい苛めたくなる俺。


何も答えない。


もう、無理。

我慢できねぇし…。


「…そっか、それじゃあお望み通りのものをあげるよ。

ね、王子様。」


甘い声で呟く。


『チュッ』

そして鳴ったリップ音。


「離せっ!」


俺の一瞬の隙を見て離れた神崎。

それに我に返る。


俺は一体…



真っ赤な顔で、オマケに涙目になって睨む神崎。


そしてリビングから猛スピードで出ていった。



何やってんだ…俺。



神崎怒らしてんじゃん!