それからは意外と早く、五分足らずで行くことができた。
ログハウス風の外見は温かく、通り掛かれば思わず入ってしまうような店だった。
ここは…入るべきなのか?
なんとなく気まずい気がする。
結果外で待つ事にした。
しがらくして、『カラン』と小気味いい音がしたかと思うとコーヒーの香りを漂わせる神崎が出てきた。
「何やってんだ…?アイツ…。」
神崎は店のまん前で立ち止まり、看板を見ながら微笑んでいた。
いやいやいや…
何で看板なんかでニヤついてんだよ…
挙句の果て、何かを呟き始めた。
「ったく、一人で何ウケてんだよ。」
「へっ!?」
ここは流石に声を掛けるべきだろう、と思い神崎の後ろから言うと、これでもか、と言う程に驚いている神崎。
「二宮!?
はぁ?
えっ、な、なな何で此処にいんの!?」
「何?
俺が居ちゃマズい訳?」
「いや、別にそんな訳じゃないけど…」
「けど?」
「あの、ほら、意外だなー、って…。」
「へぇー、俺ってそんなにニートっぽいの?」
「へっ?」
コイツは俺を何だと思ってるんだか…。
「お前ニート知らねぇの?」
「はっ!?
知ってるし!」
「んじゃ、やっぱり俺の事ニートって見てたんだー。」
「そんな事は無いと…思うけど…。」
「最後のも聞こえてるし。
っつかお前、そーゆー事言ってっと此処で襲うぞ。」
何だよ思うけど、って…
ちゃんと否定しろっつーの。
「さぁ!
帰ろー!」
右手をグーにして空に突き上げる神崎。
そんな姿にもドキッ、としてしまう。
マジでなんなんだよ…。


