月と太陽の恋愛関係

「うぇ?」

振り返った俺の腕が摑まれ、グイッ、と引っ張られた。


その拍子にバランスを崩した俺は見事に後ろにドスン…って、あれ?


いつまで経ってもその衝撃は来ない。

それどころか何だか柔らかい感触がするような…


「お、おいっ!
二宮!
何やってんだよ!
離せ、離せってば!」

俺は二宮のふとももの上に仰向けで寝るような形になっていることに気付く。


「っ、離せー…。」

力を入れ、ジタバタ、と動くかまるでビクともしない。


それどころか俺は段々と抵抗する力が無くなって…

「ハァ…ハァ…」


息が切れている。



フフン、と悪戯に口角を上げ、怪しげな笑顔を浮かべる二宮。

俺はギロッ、と睨む。


「フフ…それってさ、誘ってんの?」

だがそんなのお構いなし、とでも言うように再び笑う二宮。


何も答えない俺。


「…そっか、それじゃあお望み通りのものをあげるよ。

ね、王子様。」


『チュッ』

小さなリップ音が鳴り、俺の唇と二宮の唇が触れた。


ドキッ…


まただ、

何故かドキッ、としてしまう。

何故かもっと欲しいと思ってしまう。



「離せっ!」


そう言って立ち上がる。

離れたくない、と思っている自分が其処には居た。



俺はそんな自分を知られるのが怖くて、二宮の腕を振り払い、リビングを後にした。