月と太陽の恋愛関係

「んじゃ、俺も頼もっかな。

おじさん、俺にも一つ。」


たらこスパゲティの味に感動していて、隣の人の存在をすっかり忘れていた。


「かしこまりました。」


マスターは笑顔で注文を紙にとる。


「あれ?
どうしたの?
もう、お腹一杯?」


隣から笑顔で問い掛けるこの人は一体…

「いえ…。」


何だかこの人を知ってはいるのだけれど、上手く話せない。


自然に話そうとすればする程に、口が硬く閉じてしまう。

ほんとに駄目だな…俺。


元々異性と話す事は得意では無い。


でもこの人はもっと、特別な理由で話せない。


そんな理由を思い出せない自分に苛立つ。


それを消すように立ち上がる俺。


「どうしたの?」

「仕事に戻るので…。」


それだけ言うと俺はその場を離れた。