『カラン』と再びお客を知らせる音が鳴った。
「あれ?」
入り口には、一人の男性…と言うか、男の子が立っていた。
高校生ぐらいだろうか?
どこかで見た事のある顔だ。
「どうかした?」
オーナーが不思議そうな顔をする。
「あっ、いえ、なんでもないです。」
「そっか、それじゃ休憩入って。
ご飯は?パスタでいいかな?」
「えっ、いや、買って食べますけど…。」
「駄目だよ。
買って食べてちゃお金も無くなるし、体に悪いだろう?」
「でも、そんなの悪いです…。」
「いいよ、気にしなくて。
働いて貰ってるんだから、これぐらいは、ね?」
「え、でもそんな「全く、夜月ちゃんは硬いなぁ。
もうちょっと気楽にやろうよ。」
「あっ、はい。」
やっぱり、勝てる気がしないよ…。
「それじゃ、ほら、そこに座って。」
そう言って目の前のカウンターを指差す。
俺はエプロンを脱ぎ、そこへ腰掛ける。
「作ってくるからそこで休んでてね。
そんなに時間は掛からない。
十分あれば出来るよ。」
「はい。」
いつぶりだろう?
こんなに嬉しい気持ちになったのは…


