「離せっ!
っつかいきなり何の用だよ!」


連れて来られたのは空き教室。


俺は二宮の掴んでいた、自分の手首を掴みつつ、怒鳴った。



「ったく、せっかく人が助けてやったのによー、その態度は無くね?」

「あ、え!
あの、その、すまん…。」


ズイッ、と顔を近付けた二宮に、舌がまわらなくなる俺。


ほんとにどうかしてるよ。



「お詫び。」

「はっ?」

「だから助けてやったお礼、プラス、さっきの姫に対する口調のお詫び。」

「はっ?」


はぁー、と深くため息を付く二宮。

って、マジ意味分かんないしっ!


一体俺が何をした。


「お前、思ってる事バレバレなんですけど。」

「な!
んな訳無いでしょ!」

「だってお前今、俺がお前に何をした、的な事考えてたっしょ?」

「そんな事考えてる訳無いじゃん。」

「考えてたよな?」


ニヤッ、と不敵な笑みを浮かべる二宮に


「まぁ、少しなら…?」

ついつい肯定してしまう自分。


ハァ…

一体何やってんだ…。


それを聞いた二宮は満足気に傍にあった椅子にドカッ、と座った。


っつか、

「何で考えてる事分かんだよ…。」


すると二宮は再びニヤッ、と笑い、「聞きたい?」と、怪し気に聞いてきた。


こんな事、聞いた俺が馬鹿だった。

コクコク、と首を縦に振った俺に返ってきた答えに、怒る気にさえなれなかった。