と、思っていたらバチッ、と視線が合った。

すると二宮は誰にも気付かれないようニヤッ、と怪しい笑みを浮かべ立ち上がった。


そして、って


「ゴメン、ちょっといいかな?
彼女と話したい事があるんだ。」

何で俺が捕まれてるー!?


「いいよね?」


そう二宮がスペシャルな笑顔で言うと、女子は可愛い、と思ったのだろう。


頬をピンク色に染め、コクコク、と頷いた。

出来ればそこ、頷いて欲しくなかったなぁ…


「あっ、あの…」

突然後ろから女の子の声がした。


何?と俺と二宮は振り返る。


「あの、その…
お二人は付き合ってるのですか…?」

躊躇いがちに聞くその子は頬を真っ赤に染めている。


「そうだよ。
神崎さんは僕の彼女。
んで僕は彼氏。」


その言葉に教室中が静かになり、皆口をパカー、っと開けて俺達を見ていた。

「ごめん、話あるから」と二宮が俺の腕を引っ張ると…


「えと、その…」

声が聞こえた。

今度は面倒くさそうに振り返る二宮。


さっきこ子だ。


「あの、えっと…
私が言うのもあれなんですけど…」


なんだろう、と首を傾げる俺。

頭をポリポリ掻く二宮。


「お幸せに…」


そう言って笑顔を見せた女の子。



それに対し、二宮は笑顔で有難う、と言うと俺を引っ張って教室を後にした。