この世界が偽りだとしても




一見、何処にでもいるような普通の少女だが、実は魔術師(マジシャン)だ。

そのことを知る者は極僅か。おそらく、街にそのことを知る者はいないだろう。

唯、リダスはオッドアイの持ち主。それだけは隠せなかった。

瞳の色が左右で全く違うのだ。右目は鮮やかな翠、左目は輝く青。

リダスを見る人々の目は、いつも気味の悪いものを見るような目だった。

魔術師ということが知られていなくても、その瞳だけで人々の視線を十分に集めていた。