「実はあの焼酎、ストレートと見せかけて水が入ってるんだよ」
「ええっ!?」
トオルいわく、勝手に部屋の酒を飲んでしまう詩織への対策として、ビンの中に水を入れて薄めていたらしい。
つまり俺はある意味、詩織が酒豪だったおかげで助かったわけだ。
「あ~よかった。ガチで飲んでたら今頃やばいことになってるよ」
「けど、お前の負けには変わりないからな」
「うっ……」
おちゃらけている様に見えて、突くところはしっかり突いてくるトオル。
「ちゃんとまなみちゃんを誘いに行けよ?」
「……わかったよ」
ふてくされて言うと、トオルはまた、しめしめという笑顔を見せた。
なかなか目を覚ましそうにない詩織を起こし、俺たちはリハーサルの準備に取りかかった。
「スタジオって何時から使えるんだっけ」
「夜の6時。昼間は先輩たちが使うらしいから」
「そっか」
ということは、まなみを迎えに行くのは夕方くらいでちょうどいいってわけだ。
「一緒についていってあげよっか?」
と子供を相手にするような口調の詩織。
「アホか。いらねー」
俺はもちろん断った。
「詩織との勝負に負けたんだから、ちゃんと俺ひとりで行くよ」



