沈黙の中、俺はさっそく自分の言葉を後悔しはじめている。
思い通りにいかないからって、怒鳴りつけるなんて、どれだけ俺は小さい男なんだ。
「ああ……もう。俺、まじでダサい」
情けない声を出して俺は頭をかいた。
「ごめん。俺、今日からしばらくトオルんちに泊まる」
「え?」
やっと出たまなみの声は、泣きそうなものだった。
「心配しなくていいよ。もうすぐバレンタインのイベントで、照明やらせてもらえることになってさ。その準備で、どっちにしろ泊まりこみするつもりだったし」
「……」
「だから、お前はとりあえずうちにいろよ」
うん、と小さくうなずくまなみ。
俺はずっと考えていたことを、彼女に告げた。
「2月最初の日曜にそのリハーサルがあるから、見にきてほしいんだ」
まなみの瞳が丸くなった。
「本番じゃなくていいの?」
「うん。リハは客がいないから。まなみが、唯一の観客」
「……」
まなみの答えを聞かず、俺はその場を足早に去った。
「えらい! ケイにしては頑張ったじゃん!」
突然押しかけた俺を手放しで歓迎するトオル。
「悪いな。しばらく世話になる」
「気にすんなって。俺んちの親も、お前なら大歓迎だし」
俺はおじさんとおばさんにあいさつして、慣れ親しんだトオルの部屋に入った。
6畳の和室はいつ来ても散らかっている。
とりあえず床に散乱する雑誌をよけて、腰をおろした。
「ところで。……なんでお前までここにいんの?」
「私も泊まり込みするんだよ! 当たり前じゃん」
ちゃっかり着替えまで用意してスタンバイOKの詩織が言った。



