「おいおい、やべえって!」
気分が高揚していくのがわかった。
最近はまなみのことで沈みがちで、こんな気持ちになったのは久しぶりだ。
「つーか詩織、なんでそんなの知ってるわけ?」
俺と同じく興奮気味のトオルがたずねた。
「実はね、こないだ先生達が新年会開いてるところに遭遇して。で、仲間に入れてもらって飲んでたら、教えてくれたの。
もちろんその場で3人分申し込んでおいたけど、いいよね?」
そんなことを、しれっと答える詩織。
相変わらず、こいつはただ者じゃない。
「いや、でも申し込んでも、まだ決定じゃないだろ? やっぱそういうのってみんな参加したがるだろうし……」
俺が言うと、詩織は周りのクラスメイトたちに聞かれないよう、声をひそめた。
「大丈夫。先生たちと飲み比べ勝負で圧勝したから、私のお願い聞いてもらえるんだ」
やっぱりこいつはただ者じゃない。
「よっしゃ、さすが詩織!」
俺の隣で、トオルがおたけびのような歓声をあげた。
その日から俺たちは、バレンタインに向けてプランを練り始めた。
全部自分たちだけでやるなんて初めてでとまどったけれど、あーでもない、こーでもないと言い合いながらの共同作業は楽しかった。
そんな風に充実した時間を過ごしても、夜になれば考えるのは、やっぱりあいつのことだった。
そして冬休みが終わろうとしていたある日。
「……まなみちゃん! おかえり!」
1階から母さんの声が聞こえ、俺は部屋を飛び出した。



