【明けましておめでとう。今年もよろしくな】
結局そんな普通のメールしか俺には打てなかった。
しかたないから画像を入れたり文字の色を変えたりして、それなりに頑張ってみる俺。
いわゆるデコメールってやつだけど、俺にとっては初挑戦。
なかなかうまくいかなくて、30分ほどかかってしまった。
――そこまでして送ったメールなのに、やっぱりまなみからの返事はなかった。
「あーっもう! なんでなんだよ」
いらだちながらグラスをテーブルにたたきつけると、詩織がどこか感心したように言った。
「あんたでもそこまでせっぱつまることあるんだねー」
「それだけまなみちゃんにハマッてるってことだろ?」
トオルがちゃかすように口をはさむ。
今日は専門学校のクラスメイトで新年会。
下戸の俺とは違い、トオルはすでに顔を赤く染めて楽しそうだ。
俺はウーロン茶を一気飲みして言った。
「そりゃあせっぱもつまるよ。いきなり北海道に帰ったと思ったら、全然連絡とれなくなってよお。
せっかく、今度こそまなみに気持ちを伝えようと決心したところだったのに」
俺の中で一度火がついた熱い気持ちは、行き場を失ってくすぶっていた。
そして、それはまなみの声が聞けない生活をしているうちに、徐々に不安へと変わってきている。
まなみがいないのに妙に落ち着いている兄貴の態度も気にかかった。