宿に到着すると、心配して待っていたみんなが出迎えてくれた。
まなみの女友達なんか今にも泣きそうな顔で、車から降りたまなみに抱きついた。
「新潟の方は大雪だってニュースで聞いて、めちゃくちゃ心配したんだよ」
「ごめん」
「連絡のひとつくらい入れてよー!で、おばあちゃんは?大丈夫だったの?」
「うん。心配かけて本当にごめんね」
その言葉でみんないっせいに胸をなで下ろした。
この一晩、本当に心配してくれていたんだろう。
なのに俺は目の前のまなみのことで胸がいっぱいで、みんなに連絡を入れることすら忘れていて……。
自分がいかに未熟な男か、今さらながら痛感する。
俺は部屋に戻り、ベッドに体を投げ出した。
昨夜の疲れが体内を沈んでいく感覚に襲われ、いつの間にか眠っていた。
扉をノックする音で目が覚めたのは、2時間ほどたった頃だった。
「ケイ、入ってもいい?」
ドア越しに聞こえる詩織の声。
「ああー……。鍵空いてるから勝手に入って」
寝ぼけ声で答えると、扉が開いた。
「寝てたんだ」
「うん。昨日寝てねーもん」
「……そう」
「で?何?」
枕に顔を押しつけたまま横目で見てたずねると、詩織は「あ、そうそう」なんて思い出したように言った。
「まなみちゃんたち、そろそろ帰るみたいだけど見送り行かなくていいの?」
「え?」
もう帰っちゃうのか?
寂しい、という感情が生まれそうになり、俺はそれを必死でもみ消した。