「いや~!まっさか、こんなデパートの一階でライティング見れるとか思わなかったし!あ、ゴボ入ってる!あ、パーライトにカラーフェーダーついてる!へえ~!デパートの出し物にしちゃ、凝ってんなー!」

息もつかずに一息でそう言った。
けれど言った後で、はたと気づいた。

……やばい。
はしゃぎすぎたかも。

恐る恐る隣を見ると、まなみが唖然とした顔で俺を見ていた。
見てはいけないものを見たような表情だ。

あー……そりゃそうだよな。
俺がライティング専門の学校に通ってることすら、たぶんこいつは知らないし。

「いや、なんか、変なとこ見せたな。俺さ、実は……」

「照明フェチ?」

「は?違ぇよ」

何だよ、フェチって。
照明に対する俺の熱い気持ちを、フェチとは何だ。

「フェチとかそんなんじゃなくて」

「じゃなくて?」

首をかしげて俺を見上げるまなみ。
至近距離でまっすぐ向けられた視線に、胸が騒いでしまう。

「……別に、俺」

俺は、照明が――

「……ただ好きなだけだよ」

言いながら、なぜか俺は顔が熱くなるのを感じた。




少し遅れて、おじさんたちが到着した。

再び兄貴役に戻る俺。

けれどこれもあと数時間で終わりだ。
おじさん達は今夜の便で、北海道に帰る。

「帰る前にどこかで夕食とろうか。武史君は好き嫌いはあるの?」

「いえ、全然ないです」

「そう。良かった」

最初はどうなることかと思ったこのプロジェクトも、無事にやり遂げることができた。

俺とまなみは、ひそかに胸を撫で下ろす。


――が、世の中そんなにうまく行くはずがなかったのだ。

4人で入ったレストランで、またまた思わぬ事件が発生した。