Pure hearts 赤 -ケイside-

――『若い人たちでデートを楽しみなさい』

おじさんの言葉が、頭の中でリピートする。

デートって……、そんなこと言われたもんだから意識してしまう。
まあ、それは俺だけか。

ちらっと横を見ると、まなみはまだおじさん達の後ろ姿を、すがるような目で追っていた。

そんなに俺とふたりきりになるのが嫌なわけ?

仕方ないから俺たちは映画館に入って時間をつぶした。

大して面白くもないアクション映画は、2時間たらずで終わった。




おじさんが待ち合わせ場所に指定した、デパートの一階に到着したのは6時前。

入ってすぐ目についた時計広場で、あたりを見回してみたけれど、おじさん達の姿はまだない。

「ここで待っとくか。もうすぐ来るだろ」

「うん」

せっかく二人きりになれたのに、もうすぐおじさん達が戻ってくる。
それは寂しい気持ちもするし、少しホッとしたりもする。

“武史”を演じているときなら、堂々とまなみの隣でいられるのに……
“ケイ”としてふたりきりになると、どう接していいのか分からない俺。

情けねーなあ……。

「うわっ」

隣で突然まなみが言った。

その視線を追って見上げると、ちょうど6時を指したからくり時計の扉が、音楽に乗って開いたところだった。

「可愛い……!」

まなみがそう言ったのは、扉の中から出てきた人形たち。

お姫様や魔法使い、ドワーフの小人、森の動物が、軽快なメロディに合わせて踊っている。

けれどそれ以上に俺の心を躍らせるものがあった。

時計広場を染めたライティングだ。

鮮やかな照明が、この空間を赤やオレンジに変え、からくり時計の人形たちをさらに引き立たせている。

「すげぇ!」

俺はとなりにいるまなみを忘れ、そう叫んだ。