Pure hearts 赤 -ケイside-

「さあ、次はファミレスだな。早く乗れ」

「え?」

「兄貴の高校時代のバイト先だよ」

「……」

「あとは兄貴が通ってた美容院とかメシ屋とか。最低でも10件は回るぞ」

呆然とするまなみを強引に乗せて、俺は再びバイクを走らせた。



――今朝、起きてから部屋を出るまでの数時間。

実を言うと、俺は色々考えたんだ。
まなみと過ごす一日をどうするか。

デートみたいなことしたいとか、正直思った。
おしゃれな店に連れて行きたいなんて、柄にもないこと考えたりした。

けど、やっぱり違う。
今の俺じゃ、それはできない。

俺の役割……俺が、あいつのためにしてやれること。

それってやっぱり、兄貴の手がかりを一緒に探してやることくらいで。

……悔しいけどね。



結局この日、さんざん色んな場所をまわっても、兄貴に関する有力な情報は得られなかった。

けれどまなみはどこか幸せそうだった。
たぶん、兄貴の知り合いとか、兄貴の思い出の店とか、そんなものに触れることができたから。



「今日はありがとう」

帰り際、まなみは俺にそう言った。

俺はその言葉に、胸が苦しくなった。
嬉しいからか悔しいからか、分からないけれど。

ビルを出ると人だかりが目に入った。

「……何あれ?」

「なんか、風船配ってるらしいな」

キッズ向け携帯電話のキャンペーンらしく、子供たちが風船を求め、ウサギの着ぐるみの周りに集まっている。

それを眺めていたら、ウサギが俺たちの方に近寄ってきて、まなみに右手を差し出した。