……なるほど。

理想のタイプではあるけれど、決して付き合う対象ではないグラビアアイドル――そんな風に考えれば、気も楽だよな。

納得して俺は電話を切った。




夜中、こんどはトオルの方から着信。

何だ?こんな時間に。

「……もしもし?」

『あっ、ケイ?あのさ、さっき先輩から聞いたんだけど。最近駅の横の広場で、ちょっとしたライティングショーやってんの、知ってる?』

トオルの声は明らかに興奮していた。

ライティング・ショーってのは、つまり照明技術を使った光のショーのこと。
俺らだって四六時中、女の子とかグラビアとかの話ばかりしてるわけじゃない。

「おー、知ってるよ。てか、見に行ったもん」

『マジか?俺も行ってみよっかなー』

電話越しに、トオルの声のボリュームが大きくなる。

俺は携帯を耳に当てたまま、夜風に誘われるようにベランダに出た。


照明は地味な裏方、というイメージで見られがちだけど、そこに魅せられた俺らのような人種も、たまにいる。

まあ、将来の夢ってやつだな。
ライティング・プランナー。俺の憧れの職業。

『で、どうだった?』

「ほんと最高だったよ。いや、まじで。――ん?」

俺は軽快にしゃべっていた言葉を思わず止めた。
女の子が視界に入ったからだ。

まなみだ。

ベランダの柵に手をついて、夜の町を眺めるまなみの姿があった。

「……!」

俺に気づいたまなみと、目が合ってしまった。

……気まずい。
なんでいるんだよ。