「まさか、闘ってみたいだなんて思ってないよな」

「え?」

「たまにいるんだよ」

 ベリルを知って名を上げようと無謀にも挑む奴がさ。

「へえ」

 倒せば名が上がるほど有名な奴なのか。どんな理由で有名なんだかと呆れて溜め息を吐いた。

「あんまり綺麗だから、あの通り名も別の意味だと勘ぐってやがるんだ」

 それって──

「悪魔のベリル?」

「素晴らしき傭兵だよ」

 そっちじゃないと眉を寄せる。

「素晴らしき傭兵──?」

 アンジーの情報では「悪魔のベリル」だけだった。

 冷酷で冷徹、少しの情もない人間であるという名なのだと書かれていたが、「素晴らしき傭兵」では印象がまるで違ってくる。