傭兵の事は傭兵に聞け──セシエルは知り合いの傭兵から傭兵へ、ベリルの居所を聞いて回った。
「ベリル? 奴を探してるのか」
二十代後半の男は見知らぬ男に目を眇め、車に荷物を乗せていく。どうやら、これから仕事らしい。
「今どこにいるのか知っているなら教えてくれ」
「キースの知り合いだから言うけど。コロンビア辺りにいるんじゃないかな」
あいつは有名人だから、依頼もひっきりなしなんだ。
その言葉にセシエルは眉間にしわを刻んだ。男の声色からして嫌悪感はない。有名人というのは、悪名という意味でじゃないのか?
彼女から聞いた話と違っている。
「ベリルに用でもあるのかい?」
唸っていると男が問いかけてきた。
「ああ、まあ。そんなところだ」
言葉を濁すようなセシエルに男は怪訝な表情を浮かべる。