──セシエルの死を知ったベリルは、彼の墓に訪れた。

「ライカは本当はハンター向きではないのだろう? だから、奴を弟子とは認めなかった」

 あれだけ共に過ごしていたならば、ハンターとしての知識を少しでも身につけていたはずだ。しかし、奴にはそれがない。

 それでも、ライカはお前(セシエル)の意志を継ごうとしている。

「悪賢いことをするものだ。何も言わずに私にそれを押しつけた」

 ライカの運が良ければ、ハンターとなったとしても生き残ることが出来るだろうと賭けたのか。

「最後の最後まで、私を楽しませてくれる」

 どうして私がライカの面倒を見ると思えるのか。

「お前は狡猾で間が抜けている」

 白く小さな墓石を見下ろし目を細めた。

「そんな綺麗な墓は、お前には似合わない」

 天使と呼ばれたお前の中にくすぶる激しい感情は、誰かに見破られていただろうか。私に向けられた闘争心に見合うものとは思えない。

 時が経ち、いつしかお前の生き方に見合う墓標となるだろう。そのときに私はまた、お前の元を訪れよう──ベリルは空薬莢を静かに供え、空を仰いで車に向かった。




 END

最後までありがとうございます!

セシエルとライカのお話は
「天使の拾いもの」
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