──後に俺は、人類の中にあって存在を否定されるものを「ミッシング・ジェム」と呼ぶことを知った。生物的にも科学的にも、宗教的にも人類の歴史に認められないものを言うらしい。
まさに、あいつのことだろう。
不死だからと自分勝手な言い分に当てはめられるあいつにとっては、いい迷惑だろうな。
まあ、俺にはどうでもいい話だ。
あいつがどんな秘密を抱えていようが、俺がその一部を背負う必要なんかないんだし、知ったところであいつへの認識が変わることもない。
それほどあいつに関心がないと思われるかもしれないが、そうじゃない。
どう言えばいいのか。最悪な出会いではあれど、共に闘ったことから何か強い絆めいたものでつながった感覚だ。
友情なんてハッキリと言えるほど、俺たちは単純な関係じゃない。
と、まあ……。俺はそう考えているが、あいつがどう思っているのかは解らない。わざわざ会って酒を酌み交わすつもりもない。
ただ、あいつがどこかの空の下で仕事をこなしているなら、それでいい。



