天使という名のハンター

「いや、止めておく。面倒だ」

 一蹴したセシエルに、ベリルは切れ長の目を丸くした。そんなベリルの表情に、やや渋い顔をする。

「いや、まあ。知りたいのは知りたいんだが」

 そういうところ、関係ないかなって。

「あれだ。もう充分ていうか」

 追いかけっこで胸焼けしそうなくらいに腹一杯だ。

「そうか」

 無表情につぶやいたその口元に、微かに笑みが浮かんでいたような気がした。

「おい」

 車を出て遠ざかるベリルを呼び止める。

「楽しかったよ。ありがとな」

 セシエルは照れくささもあり、そっけなく発するとベリルは軽く手をひとふりしてホテルに向かった。