──セシエルはホテルのロータリーに入る手前で車を止めた。それに怪訝な表情を浮かべたベリルだが、応えがないのでシートベルトを外しドアに手を掛ける。

「あのよ。ちょっと気になってるんだが」

 それにベリルは顔を向けた。

「あんた、アメリカ人じゃねえよな」

 確証がある訳じゃないし、どこからどう見てもアメリカ人なんだけどよ。疑いようが無いはずなんだが。

「なんていうか、ちょっと気になるって言うかさ」

 違ったからってどうにかする気はないぞ。