天使という名のハンター

「おい! どうした」

「ホームレスが入り込んだ! 手伝ってくれ!」

 そんな声が聞こえて、二人は肩をすくめつつ階段を降りる。

 物音や他の声がしない事を怪訝に思いながらも一階に到着するとハンドガンを持ち、警戒してレストランに足を踏み入れた。

 その途端、左に居た男が視界から消えて目を向けると、明らかにホームレスではない男に首を絞められていた。

「──っ!?」

 仲間の首を絞めながら睨みつける緑の瞳に体が強ばり声も出せず、銃の引鉄(ひきがね)を絞る事も忘れる。仲間の小さな呻き声にハッとした瞬間、凄い力で今度は自分の首が絞まっていく。

 もう一人いたのかと気づいたときには意識を失っていた。

 セシエルが二人を拘束しているあいだ、ベリルは彼らの持っていたハンドガンから弾倉(マガジン)を抜き本体を軽く分解する。

 退路を断つなら敵の無力化は万全に行う──こういう部分が、ベリルの成功率の高さにつながっているのだろう。

「あと何人だあ?」

 二人の拘束を終えて手を払いつつ立ち上がる。