ベリルとセシエルは互いに目を合わせると各々、男の背後で立ち上がり首を絞めて厨房に引き込んだ。
呻き声を意に介さずそのまま絞め続けて落とすと、そこら辺の布を口に押し込んで猿ぐつわと両手足を拘束し厨房から出る。
入り口に向かうベリルに何をするのかと見ていると、両開きの扉に男から奪ったベルトを巻いている。自分たちの退路も断ってしまう事になるが、逃がすよりはいい。
そうして二人は階段に向かう。外にも非常階段はあるのだが、上れないようにふさがれているので問題はない。
床に落ちている物に気を配りつつ、ゆっくりと見上げる。途中で折れ曲がった階段は薄汚れていて、あちこちにゴミが散乱している。
ここで寝泊まりしている人がどこかから拾ってきたのか、破れた毛布などが散らばっていた。
「五人から七人といったところか」
音を立てずに階段を上りながらベリルが答える。



